歯科の対症療法

対症療法

みなさんは対症療法という言葉はご存知ですか?
英語で「Symptomatic treatment」と言いますが、簡単に解説すると「痛みなど、その症状に対してだけ行う治療の事」です。

歯医者さんには歯が痛くなってからしか通わない!という方もいらっしゃるかもしれませんが、現在行われている歯科での治療内容(保険診療での治療)の多くが、痛みを取っただけでは治っていないということがほとんどなのです。

対症療法の反対語は、原因療法とか根本療法と言った言い方をしますが、虫歯は削って元通りになることは無いのと同じように、その原因や根本を追求するならば、通常行う治療はもちろんのこと、患者さんの食生活や薬の服用、日常生活などにも目を向けて当然だと思っています。

現代の西洋医学というのは、もともと「戦場医学」から始まったもので、アロパシー医学とも言われています。
ここで勘違いしてもらいたく無いのですが、全ての対症療法が違うというわけではなく、いわゆる急性期「症状が出た時(出始めの時)」には薬は有効ですし、切った貼ったなどの外科的治療は当然必要であり有効です。
心筋梗塞、脳内出血、感染症、骨折の場合には外科的治療などの対症療法(西洋医学)も有効です。

問題なのは、慢性的に薬を飲み続けている時です。

特に当院では「歯科心身症」を中心にセカンドオピニオン相談を行なってきましたが、やはり噛み合わせが強い方、重度の症状にも関わらず歯科の指導を聞けない方や、色々な理由をつけて実行にすぐ移れない方、多くの歯科医院を渡り歩いている方などの、問題を抱えている患者さんに対して食生活や薬の服用歴などを聞くことを行なってきました。

その多くの方が向精神薬や抗うつ剤を軽度な症状から重度な症状の方も長期に渡って服用し続けている方が多いのです。
このような方は「薬を飲まないと不安」、「薬を止めれない」と中毒患者と同じような顔の表情、話し方をしていることが多いということが分かってきました。
その中で減薬や止薬ができた方は、だんだん顔色も良くなり、食生活なども良いものに変え、健康的な日常生活が送れるようになって、口腔内も気分も良くなる傾向に共通してあります。

歯科治療においても「目先の痛みを取ること」や「見た目を綺麗に仕上げる」のはもはや当たり前であり、そのような症状が起こる原因がとても重要であり、患者さんに「自軸を取り戻してもらうこと」がとても重要なのです。

東洋医学の考えに、「陰極まれば陽になり、陽極まれば陰となる」という言葉があります。
こんなマーク見たことありますよね。
陰極まれば陽となる
陰陽論というものですね。
よく漢方、鍼灸など東洋医学では良く使われている言葉です。
太陽と月があるように、ツボも表や裏があるように、両極ですが隣り合わせと言う意味でもあり、毒も良薬になる場合もありと言う思想です。
東洋医学は体の外側と内側の両方からアプローチし、自然治癒力や自己免疫力を上げる考えから成り立っています。

当院でも東洋医学の考え方も取り入れてますが、患者さんに同じ治療を行なっても、人間本来の自然治癒力には個人差があり、正しい健康意識を持つ方や、健康的な生活が送れている方は、外科的手術後の治りも早いというのが実際です。

歯科医師もどんな名医であっても「グラグラして歯周病に感染している歯を保険診療で残して〜」と言われても、難しいものは難しいと言うしかありません。
それで残したとしても果たしてどれくらいの期間持つのやら・・・他の歯にも影響するし・・・

という事になってしまいます。

患者さんも目先だけの事を考えるよりも、長期を考えることはとても重要です。
行き当たりばったりの治療は治っていないのですから。


治療を行う側も目先の痛みを取るだけでなく、その原因を考え、治療を行うことが名医の条件であると考えます。

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